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やさぐれ同盟

やさぐれ同盟

詩2


「もざいく」

思いっきり叫んでみろよ
「あーいーしーてーるー」
びっくりまーくをてんこ盛りでさ
それからトイレに駆け込んで
落書きするんだ
とびきり卑猥な言葉を
電話番号付きで

神様の悪口言い過ぎて
バチがあたった女の子
落ちるところまで落ちちゃったから
恐いものなんてもう無いのよ
それってすごいラッキーだね
「あたし絶対に謝んないわ」
君の言う「絶対」って言葉が好きだよ

子供がね撥ねられたんだよダンプに
びゅーんって飛んでったんだ
ウルトラマンの真似してたっけ
すごいよね
すごいよ

繋ぎ目から裂けちゃった
愚図愚図してたから悪かったんだ
コーヒーを淹れてください
少しだけお話しましょう

ねえ これから大事なことを言うよ


「25」

世界の中心が痒くてしょうがない
血が滲むまで掻きつづけている
そうだ
流血した歌が聞こえるはずだった
静寂は吸いさしの煙草が燃え尽きる間だけ

天気予報士は雨は止まないと言う
すべてのページは糊付けられる
口篭もることが美徳
隙間に捺印する日々

殺してやる

わたしは喪に服している
テンキーばかり叩いている
優しい音楽をかけないと眠れない
通話ボタンを押すのを躊躇って
いつも吐き捨てるんだ

追伸 俺は終わった
でも後を誰に託そう?
宛名を書かずに遺言を投函し
空っぽの意思を世界に漂わす

大切なことが
内臓といっしょに腐り落ちました
こんなの単なる排泄行為です
変わらない
変われない
そうです
だから僕は終わったのです


「カタツムリ」

永遠に終わらない反抗期の中で
一匹のカタツムリが殻の中に
もんどりうって転がって
出てみたところは冗語の海

這いずったら跡が残ります
ものを見るには突起します
しかたありません器官の都合ですもの
コップの中では飼わないで
さおりちゃん
わたし醜くないかしら
あなた可愛がってくれますか
つぶやき聞いてくれますか

さおりちゃんはママが嫌い
パパはもっと嫌い
愛人さんはちょっと好き
先生友達どっか行け
未来の恋人今いずこ
コップの中の殻の中

携帯電話がぶるぶると食卓を震わせる
ロールキャベツが冷めていく
フォークがきりりと皿に鳴る
テーブルの真ん中には真っ赤なダリアが咲いている
パパママ消えて
わたしミルクをこぼしたい

ばりばり音がするのです
むりやり引っこ抜かないで
みんなお家が欲しいでしょ
これがわたしのお家なの
引き剥がされて痛むのです
それもわたしの一部なの
さおりちゃん
わたしを外に出さないで

永遠に終わらない反抗期の中
一匹のカタツムリは殻の外
いいえ
わたしもうカタツムリではありません
ひっこぬかれて曝されて
強くなるのよと叱られる
だれかの弱さを埋めなくちゃ
さおりちゃん
あなたの弱さはわたしのお家
決して帰れないわたしのお家




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